[ 話し方/プレゼンテーション ミニレッスン ]
  ●はじめに「話ベタの人はこの世に存在しない」

私が自分の職業を紹介すると、多くの人が、こういいます。
「私うまくしゃべれないんですよ。どうやったらうまくなりますかね。」

そのたびに、私は
「うまくしゃべれない人はこの世には存在しません。流暢にしゃべることがうまいしゃべりとは限りませんし、どもりながらも、いい喋りをする人はたくさんいますよ。」と答えます。

一体どういうことなのか。しゃべる、ということの原点に戻っていただければお分かりいただけます。
しゃべることの目的は、自分の言いたいことを相手に伝えることです。流暢であろうがなかろうが、相手に伝わればいいのです。

流暢にしゃべったとしても、次から次へと矢継ぎ早にしゃべられるとどうでしょう。決して流暢ではなくとも、こちらの反応を待って、しゃべってくれるのとでは、理解度では、後者の方が断然上です。

本当に話ベタかどうかは、人と話しているときの反応を見てみてください。相手が本当にわかっているのか、それによって決まります。

つまり、話ベタかどうかは、自分自身が相手に対する思いやりを持っているかどうかの話で、できるかどうかの能力ではなく、自分の心構え1つですぐに変えられるのです。
したがって、話ベタの人はこの世には存在しないのです。

ただ、しゃべるときに、相手の反応を見続けるのは、意外に難しいものです。リラックスすればするほど、逆に、相手の反応を見ることを忘れてしまいます。
「話していて楽しい人」それは、常に相手に気を使っている人のことだと思います。


●STEP1「全ての会話は挨拶から」

どんな会話でも、まずはここから始まります。朝起きて家族に「おはよう」。会社や学校に言ったら、同僚やクラスメートにも挨拶します。初めて会う人に自己紹介するときには自分の名前を名乗ります。ここで第一印象が決まってしまうといっても過言ではありません。

挨拶や自分の名前を言うことは、どの言葉よりもずば抜けて多く回数が多いです。つまり、その分、言いなれているということでもあります。なので、明瞭な喋りをするには、まず、言いなれている、挨拶と、名乗ることからはじめます。

ちょっとその場で立ってみてください。肩幅に足を広げて、背筋を伸ばして、軽くあごを引いて、飛び切りの笑顔をして、息を全て吐ききって、おなかと背中がくっつくくらいにまではききってください。

今度は、鼻からゆっくり吸い込んでください。鼻からおなかに空気が流れ込むようなイメージでゆっくり吸って、一杯になったら、すっと軽くはいたあと、鏡の前で、飛び切りの笑顔を作ってから、一言言いましょう。
「こんにちは、○○○○です。」

毎朝でがけの前にやってみましょう。
笑顔の作り方は、「イ」の口を、一回大げさにしてみる、言い換えれば思い切り、口を横に開きます。その形から、口の力を抜くと、自然の笑顔になります。

だまされたと思って試してみてください。


●STEP2「ビートたけしさんを真似る」

発声練習で、ビートたけしさんを真似る、というと、ちょっとぎょっとするかもしれません。たけしさんの発声を真似ろ、というのではありません。たけしさんは、アナウンサーではありませんから、もともとその道の専門家ではないからです。

ではどこをまねるのか。それは、2つあります。1つは、荒井柱さんのものまねで「なんだばかやろー」という時の口の開き、もう1つは、女性には申し訳ないのですが、「コマネチ」というポーズをするときに、手はどの辺りをさしているかです。

なんだばかやろう、というときに、たけしさんは、これでもか、といわんばかりに口を大きく開いています。あけられる限界まで開く=顔の筋肉をフルに活動させる=筋肉が鍛えられる=普段しゃべるときに、楽にしゃべることができるわけです。人前で、そんな表情はできませんから、家で練習するときとか、電話をするときに、試してみましょう。

「コマネチ」のポーズ、これは、1回だけやってみてください。手はどのあたりを動いているでしょうか。腰骨から足の付け根辺りをなぞっています。腹式呼吸は、このあたりの筋肉を使っているのです。息を吸うときは、ここの筋肉とその間に向かって息をすいこむように、吐くときは、そこから息を吐き出すイメージで試してみてください。イメージだけでいいです。最初要領は得ないでしょうが、繰り返すうちに、わかってきます。わからなくても、イメージさえあればOKです。


●STEP3「腹式呼吸って何?」

腹式呼吸、といわれても、なかなかイメージはわかないでしょう。STEP2で、そのキーは「ビートたけしさんのコマネチポーズ」と書きました。
ここでは、もっと詳しく説明します。その場でたってみて、足を肩幅に開いてみてください。右手を逆の肩にあてて、左手は、親指をヘソの上において、お腹に当ててください。
そして深呼吸をしてみてください。
どこが動きますか。
左手だけが動いていれば、もう複式吸はできています。

右手が動いてしまったら、STEP2でお話した、コマネチポーズをとってみてください。その、手が動くところの筋肉とその間に挟まれたゾーン=左手で押さえていたところに口があるとイメージして、もう一度深呼吸してみてください。肩に当てた右手は絶対に動かさない、肩と、口と鼻は、お腹で呼吸した空気の通り道に過ぎません。

なかなか難しいかもしれませんが、
お腹に口がある、と思い込めば、そのうちできるようになります。


●STEP4「滑舌は、あいうえお、だけでOK」

「私滑舌が良くなくて」という相談を受けます。でも、誰もがその8割を改善できます。なぜなら、日本語の発音は、「ア、イ、ウ、エ、オ」の母音と、カ行以下の子音の組み合わせでできているからです。

どんな音でも、言い終わったら、「ア、イ、ウ、エ、オ」いずれかの口の形になっているはずです。「キ」と発音したら、イの口の形で終わります。

なので、
アイウエオをしっかりいえれば、滑舌の8割は改善できるわけです。では、アイウエオをどうすれば改善できるのか。それが、STEP2で書いた「口をできるだけ大きく開ける」ことです。ア、イ、ウ、エ、オと一音ずつ、丁寧に出してみましょう。口の筋肉が疲れるまで。一日の積み重ねが、すべての音を変えます。


●STEP5「聞いて欲しけりゃ黙ってろ」

人と話すときに黙っていろ、とは、穏やかではありません。しかし、この黙っている間があるからこそ、人は話を聞いてくれるんです。
大勢の前で講演するとき、話し手が、言うことを度忘れして、それまで騒がしかった聴衆の視線が、話し手に集まる、という経験はありませんか。それを逆手に取るのです。

少人数で話すときも、一番言いたい言葉の前に、ちょっとだけ間を開けてみてください。相手の反応が違ってくるはずです。
もう1つ、相手がしゃべり終わるまで、こちらからは、声を出さず、言い終わって、黙っている間を作ってからこちらがしゃべりだす、ということも心がけてみましょう。相手は言いたいことを言い終えて満足ですから、こちらの話を聞く態勢に入っています。それだけ話を聞いてくれやすくなります。

話は、相手が聞いてくれなければ意味がありません。聞いてもらうために「黙る」のです。


●STEP6「もってうまれた外見の良さは諸刃の剣」

人間の努力で変えられる外見、たとえば、服装だったり、髪型だったり、姿勢だったり、表情だったり、色々有ります。変えられるものに対しては、人間は自然とその努力を見抜きます。かみぼっさぼさや、シャツが出ていたら、自己管理の無さがわかるからです。

ひとつの事例として、1960年のアメリカ大統領選挙は、民主党のジョンFケネディ候補と、共和党のリチャードニクソン候補との大接戦があります。この選挙で初めてTV討論が行われました。

ニクソンは、徹夜で、討論の1時間前まで、ケネディとのやり取りを想定した原稿に推敲に推敲を重ねていたそうです。そしてヒゲもそらずに討論に臨んだそうです。
一方のケネディは、髪をきちっと整え、テレビ写りの良い化粧もし、厚底の靴を履いて、背を高く見せ、にこやかな表情を保っていました。それまで大接戦だった選挙戦は、結局、ケネディが勝ちました。この
変えられる外見が勝敗を決めたとまで言われています。

一方、人それぞれ生まれ持った外見というのは、これはどうしようも有りません。でも、その
どうしようもない部分というのは、あまり重要な要素でないんですね。そりゃ、かっこいい男性や、美しい女性の方がいいように見えます。でも実は、それは諸刃の剣だったりもします。

その事例が、40年のときを経た2000年、そのケネディ・ニクソン以来の大接戦となったブッシュとゴアの大統領選挙です。テレビ討論は全部で3回行われました。
ゴアの方が身長5センチ高く、また背筋もぴんと伸びて、またアメリカでは女性受けする顔だそうです。声も響きますし、ブッシュはそれに比べたら、今言った点では、ゴアに劣るというのが、一般的な評価でした。ゴアの方がスマートだったんですね。

討論会で、ゴアは徹底的にブッシュを叩き込みました。ブッシュが話しているときに、聞こえがヨシにため息を19回もつきました。
討論後の世論調査では「ゴアが勝った」という判定でした。ところが、支持率は、それまでゴア優勢だったのが、一気にブッシュが差を縮めたんです。
理由として、視聴者は、「ゴアは尊大」との印象を挙げました。大きいやつが小さいやつをいじめている、ゴアにとっての利点だった、背の高さ、姿勢の良さ、声の良さ、がすべて裏目に出てしまったんです。

このように、生まれながらに備わっている外見上の利点というのは、余り武器になりません。むしろ、別に有る欠点が露呈したら、それをより強く印象付けてしまいます。


●STEP7「困ったときの必殺技」

大勢の前でスピーチする、1対1でしゃべる、どの場面でも、緊張するでしょう。突然の指名で、何を話せばいいかわからず、どんどん長くなってしまうこともあります。聞いているほうは「早く終われよ」と思っているのに言い出せない。そうならないように、どうすればよいか。以下の必殺技を伝授します。適宜使ってください。

緊張している自分を客観視する。深呼吸と笑顔を作る以外、何もしなくて良い。
緊張をなくそうとするとかえって緊張してしまう。緊張するのは心身健康である証拠なので、ありのままの自分を受け入れる。
「ああ、自分は緊張しているな。」と自覚するだけでよい。深呼吸も笑顔も「やろうとする」だけでよい。

◆会話や講演では、
一番最後に何を話すか決めておく。ゴールを決めておけば、そこに向かっていけば良いので、話が長引くことは無い。

話すことが無くなったら、「質問」と「同調」で続かせる。こちらにネタがなくても、相手のネタで話をするので、事欠かない。同調すれば、相手は喜んでくれる。


後は経験で、自分でアレンジを加えてみてください。

 
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